
歴史の風”を感じて-。大正時代から昭和初期にかけて作られたうちわや扇子の展示会が、20日から常陸太田市西二町の立川醤油(しょうゆ)店(立川久泰代表)で開かれる。同店は江戸時代から続く老舗で、敷地内の蔵に眠っていた約100点を4年ぶりに展示。当時の地元商店などが暑中見舞いのあいさつを兼ね、商品の販促用として配ったものが多く、立川代表(61)は「常陸太田の歴史を感じながら、涼しい気持ちになってもらえれば」と話している。
展示されるのは、主に竹と和紙で作られたうちわや扇子で、大きさや色、形もさまざま。絵柄は当時、同市内にあった呉服店などの商店名、蚊取り線香や薬品などの商品広告、カラフルな幾何学模様のほか、戦時中をほうふつさせる日の丸と鉄かぶとが描かれたものもある。
4年前、蔵の整理をしていた妻の政子さん(59)が、1931(昭和6)年の新聞紙に包まれた大量のうちわ類を見つけた。大半が袋などに包装されていたため、保存状態は良好。
地元に古くから伝わる郷土工芸品「雪村うちわ」や、西山荘が墨で描かれた扇子、岐阜県の長良川鵜(う)飼いの観賞用に使われたとみられる油紙のうちわ、台湾製の芭蕉扇など、貴重な珍品も大切に保管されていた。
政子さんは「昔のうちわは、よくしなる竹で作られているので風当たりが柔らかく、現代のプラスチック製とは違う涼しさが味わえる」と話す。
展示会は8月10日まで。
問い合わせは立川醤油店TEL0294(72)0108。HP: http://www.mangoku-soy.com/
(2013年7月16日(火) 茨城新聞掲載記事より)